ICカード型の電子マネーについては、自宅のコンピュータや 公衆電話などから送金できるのが大きな特徴である。 従って、そのためのハードウェアのインフラ設備が整っていないと 利用する価値が半減するわけである。日本でもNTTが、1998年度から 10年程度かけて、全国に80万台ある公衆電話をICカードを使う 次世代型システムに順次新しく切り替えいく方針を固めた。 (日経新聞朝刊1996年5月26日1面より)ICカード式電子マネーには、 インフラの整備が本格的利用には不可欠であり、どのようにしてハ ードウェアのインフラを普及させていくかが今後の課題となる。 そして、今後の展開に先駆けて将来的な法的枠組みの整備が必要である。
ネットワーク型の電子マネーについては、ネットワーク固有の 電子現金は概念的にもなかなか一般の人全員が理解し受け入れられ るまでには努力を要すると思われる。電子データに価値を持たせる というのは、最初のうちは何らかのしっかりとした裏付けが無いと 受け入れられないと思う。従って、最初のうちはある程度既存の決 済手段との組み合わせ(例えば、預金と同じ形で銀行の口座に保有し て保険がきくようにする等)から出発して徐々に独立していく形にす るのが望ましいと思われる。ハードウェアは、インターネットを既 に利用している人にとっては新しく必要となるものがないことから、 いかに一般的受容性のための社会的信用を得るかということが必要 となる。電子データであるから、セキュリティの整備は不可欠であ り、それが整備されていないとこのタイプの電子マネーは実現され ないことになる。技術面と制度・社会的側面の両方の整備が、非常 に重要であり、法的枠組みの整備など課題となる点が多いのである。
電子マネーの最大の特徴:現金を使わず、銀行の口座を通さず、 電子化された金銭をネットワークを通じてやり取りする。
他に以下のような利点がある。
ICカード型の利点
ネットワーク型の利点
電子マネーは、現在のネットワークの発達によるネットワーク上での
決済と現実世界での現金のハンドリングコストの低減を目的に開発され、
暗号技術の進歩やICカードの低価格化、記憶容量の拡大によって実現さ
れている。そして、それに対する社会への影響なども金融だけではなく、
全ての人々にまで及んでいる。
そこで、私は、現在最も世界中に浸
透し、今もなお拡大しているクレジットカードを利用する、クレジット
応用型電子マネーが普及していくと考える。現在使われているクレジッ
トカードの機構を利用しているため、法律や規制等の問題に抵触せずに
普及できるということが、クレジットカード応用型電子マネーの強みだ
からである。
しかし、クレジットカードを利用するからといって、
クレジットカード応用型電子マネーが中心となって、電子マネーが普及
するとは考えてはいない。電子マネーが通貨として使用されるようにな
れば、やはり匿名性や転々流通性が重要になってくるからである。そう
いった意味では、将来的にはモンデックスなどの現金模倣型電子マネー
が中心となってくる。そして、クレジットカード応用型電子マネーは、
それの欠点を補う形で1つのICカードに組込まれ、1つの電子マネーとし
て、世界中で使用できる世界の単一通貨として、発展していくだろうと
考えている。