Twitterによるプロ野球ゲームの盛り上がり分析

ネットワークシステム研究室
指導教員 坂本 直志教授
15EC123 山中 将充

目次

1.はじめに
2.準備
2.1 野球
2.1.1 基本的なルール
2.1.2 満塁ホームランとサヨナラ勝ち
2.1.3 プロ野球
2.2 Twitter
3.分析
3.1 グラフ化における分析例
3.2 分析結果及び考察
4.まとめ
5.参考文献

1.はじめに

 近年、日本のプロ野球は大きな盛り上がりを見せている。2018年において、プロ野球のレギュラーシーズンはセ・リーグ、パ・リーグの両リーグで観客動員数がともに過去最多を更新し、中には球団最多の観客動員数を記録した球団もあった[1]。

 この盛り上がりはSNSでも見せており、特にTwitterでは、プロ野球のワードが頻繁にトレンド入りしている。応援している球団が勝利したときには、「〇〇ほー」とツイートされ、〇〇には球団によってそれぞれ異なるワードが入る。例えば、阪神タイガースは「とらほー」、北海道日本ハムファイターズは「はむほー」とツイートされる。なお、横浜DeNAベイスターズは「〇〇ほー」ではなく、「横浜優勝」とツイートされている。また、他研究[2]では、得点時においてツイートが多くなるため、試合の総得点や、得点シーンが多いほどツイート数が多くなることが考えられている。

 本研究では、Twitterにあるプロ野球のツイートを球団ごとに取り、グラフ化することによって、どのような盛り上がりをみせるのかを分析し、特定のシーンごとに比較をして、盛り上がり方に共通点や違いを見つけ、なぜそうなったのかを考察することを目的とする。シーンによって、それぞれ異なる盛り上がり方をすると考えたため、このような目的を設定した。

2.準備

2.1 野球

2.1.1 基本的なルール

 野球は、それぞれ9人で構成された2チームが攻撃と守備を交互に行い、得られた点数を競う競技である。点数の多い方が勝利となる。攻撃側はバッターと呼ばれるボールを打つ選手が、本塁の左右にあるバッターボックスと呼ばれる場所に立つ。そして、ピッチャーと呼ばれる選手がバッターにボールを投げ、それを打つ。打ったバッターは、図1にある一塁、二塁、三塁、本塁と呼ばれる4つの塁を、右回りに一塁、二塁、三塁、本塁と進む。このときはランナーと呼ばれる。ランナーがアウトにならず本塁に生還すると、得点が1点認められる。守備側はピッチャー、キャッチャー、ファースト、セカンド、サード、ショート、レフト、センター、ライトと呼ばれる9つのポジションを守る。守備位置は図1の通りである。アウトと呼ばれるカウントが3つになると、攻守が交代し、アウトカウントがリセットされる。なお、攻撃時にいたランナーも攻守交代時にはリセットされる。攻撃側を先に行う方を先攻、守備側を先に行う方を後攻とする。両チームがそれぞれ攻守を行うことをイニングといい、先攻チームの攻撃を表、後攻チームの攻撃を裏という。基本的には、9イニングで行われ、その時点で得点が多いチームが勝利となる。得点が同じ点数である場合は引き分けとなるが、延長戦が行われる場合もある。

図1 守備位置と塁

図1 守備位置と塁

2.1.2 満塁ホームランとサヨナラ勝ち

 本研究では、野球において盛り上がるシーンであると考え、「満塁ホームラン」と「サヨナラ勝ち」における盛り上がりついて分析する。

 満塁ホームランとは、一塁、二塁、三塁の全ての塁が埋まった状態で、ホームランを打つことである。ホームランは、打者が一塁まで到達するシングルヒット、二塁まで到達するツーベースヒット、三塁に到達するスリーベースヒットとは違い、本塁まで到達するため、どの状況でも必ず1点は入る。そして、塁上にいるランナー1人につき、さらに1点入る。例えば、一塁のみにランナーがいるときにホームランを打つと、ホームランを打ったバッターと1塁ランナーで2点入る。そのため、バッターがホームランを打ったとき、バッターは本塁まで生還できるが、一塁、二塁、三塁にいるランナーも本塁に到達し、打者と塁上にいる選手分の得点が入る。満塁ホームランでは、一塁、二塁、三塁の3つの塁が埋まった状態で、打者がホームランを放つため、一塁、二塁、三塁にいる3人のランナーと、打った打者が本塁に生還し、得点は合計で4点入る。この4点は、1つのプレーで最も大きい点の取り方である。1-0や、0-0で引き分けになる試合もあるため、このようなロースコアの展開で満塁ホームランが出たとき、試合が大きく動き、試合の勝敗を大きく左右しやすい。「1.はじめに」において、得点時でツイートが多くなることから、1つのプレーで最も大きい点が入り、重要なシーンになる可能性が高いため、ツイートがより多くなり、盛り上がりもさらに大きくなると考えた。

 サヨナラ勝ちとは、野球において、後攻チームのとき、最終回または延長回で決勝点を上げ、試合が終了して勝利が決まる試合である。最終回の表が終わり、後攻チームが勝ち越しているとき、勝利が確定する。しかし、先攻チームが勝ち越しているとき、または同点のときは最終回の裏になり、後攻チームの攻撃が始まる。なお、延長戦では、延長回の表が終わっても後攻チームが勝ち越していることはないため、必ず後攻チームの攻撃が行われる。この最終回または延長回の裏の攻撃で、決勝点を上げ、勝ち越しを決めると、その回では先攻チームは攻撃の機会が無いため、その瞬間に後攻チームの勝利が決まり、試合が終了する。また、表1のスコアボードから、サヨナラ勝ちが決まると、得点の横にXがつく。そのため、サヨナラ勝ちは、どのシーンにおいても試合の勝敗に直接関わるため、重要な場面になる。盛り上がりが大きくなる得点時で、試合の勝敗がその場で決まるため、ツイートも多く、さらに盛り上がりも大きくなると考えた。

表1 サヨナラ時におけるスコアボードの例
12345678910RHE
A0000300100490
B2000011001X5111

2.1.3 プロ野球

 本研究では、日本野球機構(NPB)の傘下にあるセントラル・リーグ(セ・リーグ)6球団とパシフィック・リーグ(パ・リーグ)6球団の2リーグを対象とする。この2リーグには、指名打者という制度の有無という違いがあり、セ・リーグにはないが、パ・リーグにはある。指名打者は、投手の代わりに、バッターになる攻撃専門の選手であり、守備時に守備に着かない。そのため、投手は守備時における投球専門の選手となる。イニングは基本となる9イニングで、延長戦は12イニングまで行われ、決着が着かない場合は、引き分けとなる。5イニングが経過しているとき、天候によって、その時点で試合を終了するコールドゲームになることがある。なお、点差によるコールドゲームはない。リーグによるイニングや延長戦については、違いはない。この2リーグではレギュラーシーズンとポストシーズンがある。レギュラーシーズンでは、3月下旬から10月上旬までに各リーグの優勝を争う。基本的には、火曜日から日曜日の6連戦で、月曜日は休みとなっているが、日程によっては変わっていることもある。また、試合中止が重なると、特に9月後半から中止になった試合のカードが加わることがあるため、より連戦になることがある。試合時間は主に13:00や14:00から開始になるデーゲームと、主に18:00や18:15から開始になるナイトゲームがある。5月下旬から6月中旬にかけて、セ・リーグの球団とパ・リーグの球団がそれぞれ試合を行う交流戦や、7月中旬には、ファンによる投票などで選ばれた選手が、それぞれセ・リーグとパ・リーグの代表として試合を行うオールスターゲームがある。ポストシーズンでは、10月中旬から11月上旬までに、レギュラーシーズンの結果で2リーグから3位以内の成績上位者でそれぞれ代表を決めるクライマックスシリーズと、その2チームから4勝先取で日本一を決める日本シリーズがある。

 本研究は、この2リーグの2018年5月21日から日本シリーズ終了までの2018年11月3日で、11:00から翌日の2:00までのツイートを分析する。その中で、「満塁ホームラン」と「サヨナラ勝ち」について分析する。

2.2 Twitter

 Twitter[3]とは、マイクロブログの一種で、「ツイート」と呼ばれる半角280文字、日本語などの全角140文字以内でメッセージを投稿することができる。Twitter上ではこの投稿を「ツイートする」、「つぶやく」と言う。また、画像や動画、そしてURLを使ってリンクなども添付してツイートすることも可能である。Twitterで主に使用される用語とその説明を表2に示す。これらのツイートはタイムラインに表示される。他ユーザーのツイートは、フォローという機能を利用することによって、タイムラインに表示することができる。本研究では、リツイートを除いたツイートを対象とする。ただし、引用リツイートは含む。

 また、Twitterにはハッシュタグと呼ばれる機能があり、ワードの最初に「#」を付けてツイートをするとハッシュタグになる。ハッシュタグは、検索キーワードとして使うことができ、同じ関心を持つツイートを見ることができる。ハッシュタグを利用したツイートには、図2のようになる。ここでは、「#読書の日」というハッシュタグがあり、これを押すと、それと同じハッシュタグを利用したツイートを検索することができる。Twitterのハッシュタグによる検索では、大文字と小文字は区別されない。Twitterでは、ハッシュタグを利用して、テレビ番組やイベントなどを実況ツイートとしてツイートすることがある。本研究では、セ・リーグ6球団とパ・リーグ6球団の12球団を、表3のハッシュタグを利用して、ツイートのログを収集する。ログの収集には、Twitter4J[4]と呼ばれるTwitter APIのJavaラッパを利用し、得られたログをテキストファイル、Excelファイルと加工して分析する。

表2 Twitterで使用する主な用語とその説明
用語説明
ツイートTwitterにおいて、メッセージを投稿すること。
タイムラインフォローしているユーザーのツイートを、一連の流れとして時系列順などで表示する仕組み。
フォローあるユーザーをタイムラインに表示できる仕組み。
フォロワーそのユーザーをフォローしているユーザーのこと。
リプライ自分や他のユーザーのツイートに、メッセージを投稿するツイートのこと。図2では、吹き出しのアイコンから投稿することができる。
リツイート自分や他のユーザーのツイートを共有すること。図2では、2つの矢印アイコンからリツイートすることができる。
引用リツイート自分や他のユーザーのツイートを引用して、自分自身のメッセージを追加したツイートを投稿すること。
いいね後で読み返したいツイートや、気に入ったツイートを記録すること。図2では、ハートのアイコンですることができる。
ブックマーク後で読み返したいツイートや、気に入ったツイートを、相手に通知されずに記録すること。いいねの場合は通知される。
ハッシュタグワードの最初に「#」を付けてツイートをすると、ハッシュタグになる。同じ関心を持つツイートを検索しやすくなる。
ブロックそのユーザーから自分のツイートなどを見れなくなり、フォローできないようにする。
ミュートそのユーザーのツイートがタイムラインに表示されなくなる。通知も表示されない。
リスト複数のユーザーをまとめ、選んだユーザーのみのタイムラインを作ることができる機能。
モーメント複数のツイートを一つの記事のようにまとめる機能。
ダイレクトメッセージ他のユーザーと、非公開のメッセージを送る仕組み。
図2 iPhone版Twitterのツイート画面

図2 iPhone版Twitterのツイート画面

表3 利用したハッシュタグ
球団ハッシュタグ
広島東洋カープ#carp
東京ヤクルトスワローズ#swallows
読売ジャイアンツ#giants
横浜DeNAベイスターズ#baystars
中日ドラゴンズ#dragons
阪神タイガース#hanshin
埼玉西武ライオンズ#seibulions
福岡ソフトバンクホークス#sbhawks
北海道日本ハムファイターズ#lovefighters
オリックスバファローズ#bs2018
千葉ロッテマリーンズ#chibalotte
東北楽天ゴールデンイーグルス#rakuteneagles

3.分析

3.1 グラフ化における分析例

 今回、グラフから分析する際にどのように分析するのかを、分析した例で示す。次に示すのは、2018年10月31日(水)に行われた福岡ソフトバンクホークス対広島東洋カープの日本シリーズ第4戦である。

表4 10月31日の試合結果
123456789RHE
C000100000140
H00210100X490
図3(a) 10月31日のソフトバンク側におけるツイート推移グラフ

図3(a) 10月31日のソフトバンク側におけるツイート推移グラフ

図3(b) 10月31日の広島側におけるツイート推移グラフ

図3(b) 10月31日の広島側におけるツイート推移グラフ

表5(a) 10月31日のソフトバンク側における試合内容
番号時刻ツイート数試合内容
@19:242013回裏、2アウト一塁から2ランホームランを放ち、2-0と先制する。
A19:462114回裏、2アウトランナーなしからソロホームランを放ち、3-1と点差を離す。
B20:032135回表、2アウト一塁から一塁ランナーの盗塁を阻止する。
C20:501546回裏、1アウト一三塁からタイムリーヒットを放ち、4-1と点差を離す。
D21:56405試合終了、勝利する。
表5(b) 10月31日の広島側における試合内容
番号時刻ツイート数試合内容
@18:391021回表、1アウト一塁からツーベースを打つが、一塁ランナーがアウトになり、先制ならず。
A19:332104回表、2アウトランナーなしからソロホームランを放ち、1-2で1点差に迫る。
B20:03945回表、2アウト一塁から一塁ランナーが盗塁を試みるも、失敗する。
C20:511126回裏、1アウト一三塁からタイムリーヒットを打たれ、1-4と点差を離される。
D21:56181試合終了、敗北する。

 この日の試合開始予定時刻は18:30である。図3のグラフから、この日の11:00から翌日の2:00までの総ツイート数はソフトバンクが9430ツイート、広島が8576ツイートだった。このグラフにおいて、グラフが山になっている箇所、つまり盛り上がったシーンについて着目したのが表5である。ツイート数やグラフから盛り上がったシーンをそれぞれ5つずつピックアップしている。なお、このツイート数はその時刻内でツイートされた数である。この日最もツイート数が多かったシーンは、ソフトバンク側が21:56に記録した試合終了時の、405ツイートだった。図3のグラフにおいて、最も大きな山になっていることがわかる。このシーンは勝敗が決まる時であり、試合終了した瞬間に勝利を喜ぶツイートが多く見受けられた。また、表5から、試合終了時以外の盛り上がったシーンに限定して着目すると、ソフトバンクでは、3つのシーンが得点シーンだった。また、広島では、得点シーンが1つだったが、それが最も盛り上がったシーンだった。

 このように、試合勝利時と得点時では、盛り上がりが大きい傾向にあることがわかる。この結果から、本研究では一つのプレーで最も点が取れる「満塁ホームラン」と、得点かつ試合の勝利が決まる「サヨナラ勝ち」の2つのシーンが起こった試合について、どのような盛り上がりを見せるのかを分析した。

3.2 分析結果及び考察

 「2.1.3 プロ野球」で先述したように、本研究は、セ・パ2リーグの2018年5月21日から日本シリーズ終了までの2018年11月3日の期間で、11:00から翌日の2:00までツイートを、満塁ホームランとサヨナラ勝ちが起きた試合におけるツイート数に注目して分析した。

 表6は満塁ホームラン、表7はサヨナラ勝ちが出たときのデータである。日付は、その試合の日付である。球団は、満塁ホームランまたはサヨナラ勝ちをした球団である。総ツイート数は、その日の総ツイート数である。満塁HR時のツイート数またはサヨナラ時のツイート数は満塁ホームランまたはサヨナラ勝ちのときに最も多かったツイート数である。例えば、満塁ホームランまたはサヨナラ勝ちのシーンで盛り上がったとき、21:03で105ツイート、21:04で140ツイート、21:05で98ツイートであるとすると、最もツイート数が多かった21:04の140ツイート数になる。盛り上がりは、時刻ごとのツイート数によって定めたその試合で最も盛り上がったシーンである。なお、全ての項目において、分析対象は満塁ホームランまたはサヨナラ勝ちが起きた方のチームのみを対象とする。

表6 満塁ホームランのデータ表
日付球団総ツイート数満塁HR時のツイート数盛り上がり
5月27日西武6307111満塁ホームラン
6月1日日本ハム341365試合終了
6月2日阪神5068123試合終了
6月7日DeNA5500175満塁ホームラン
6月7日楽天271660試合終了
6月16日西武4894147満塁ホームラン
6月23日ロッテ3402115満塁ホームラン
6月24日広島7972228満塁ホームラン
6月26日広島7585119その他
6月28日オリックス113334満塁ホームラン
6月30日ヤクルト393487満塁ホームラン
7月10日中日3959110試合終了
7月11日オリックス76924試合終了
7月17日オリックス103627試合終了
7月21日楽天262067試合終了
7月27日広島11176150満塁ホームラン
7月27日広島11176274満塁ホームラン
8月1日西武333170満塁ホームラン
8月7日阪神290556試合終了
8月9日オリックス88727試合終了
8月17日DeNA6529136その他
8月19日西武6716257満塁ホームラン
8月23日ヤクルト6362125その他
8月26日ソフトバンク9068159満塁ホームラン
8月26日ソフトバンク9068324満塁ホームラン
9月8日西武5955173満塁ホームラン
9月16日阪神4909122満塁ホームラン
9月16日巨人4752140満塁ホームラン
9月17日西武9571181試合終了
9月25日西武5501279満塁ホームラン
9月30日ロッテ4098200満塁ホームラン
10月13日ソフトバンク5316166満塁ホームラン
10月30日広島17082609満塁ホームラン
表7 サヨナラ勝ちのデータ表
日付球団総ツイート数サヨナラ時のツイート数盛り上がり
5月24日ロッテ7756312サヨナラ勝ち
5月26日阪神4983206サヨナラ勝ち
5月30日広島12755407サヨナラ勝ち
5月31日DeNA8708423サヨナラ勝ち
6月2日オリックス248059サヨナラ勝ち
6月6日広島5803291サヨナラ勝ち
6月7日中日5449190サヨナラ勝ち
6月7日ヤクルト7628318サヨナラ勝ち
6月9日阪神6269177サヨナラ勝ち
6月10日巨人4675254サヨナラ勝ち
6月15日西武5878230サヨナラ勝ち
6月17日ロッテ5367247サヨナラ勝ち
6月22日中日3402134サヨナラ勝ち
6月27日日本ハム5272214サヨナラ勝ち
6月28日ヤクルト5780275サヨナラ勝ち
6月29日DeNA6247259サヨナラ勝ち
6月29日中日2898208サヨナラ勝ち
6月29日ソフトバンク3032159サヨナラ勝ち
7月1日西武5885168サヨナラ勝ち
7月20日広島8298308サヨナラ勝ち
7月20日ロッテ6787131サヨナラ勝ち
7月21日ヤクルト4751197サヨナラ勝ち
7月24日楽天6032156サヨナラ勝ち
7月25日西武6166204サヨナラ勝ち
7月26日ソフトバンク4174155サヨナラ勝ち
7月26日西武4567167サヨナラ勝ち
8月1日日本ハム3212132サヨナラ勝ち
8月3日DeNA9659428サヨナラ勝ち
8月3日中日3693254サヨナラ勝ち
8月4日阪神6697233サヨナラ勝ち
8月9日広島5496215サヨナラ勝ち
8月12日オリックス105629サヨナラ勝ち
8月12日楽天200067サヨナラ勝ち
8月14日西武7122225サヨナラ勝ち
8月14日ヤクルト7395226サヨナラ勝ち
8月19日巨人4674178サヨナラ勝ち
8月23日広島7433423サヨナラ勝ち
8月23日中日2646162サヨナラ勝ち
8月25日ロッテ3821122サヨナラ勝ち
8月26日ソフトバンク9068324サヨナラ勝ち
8月29日西武5657295サヨナラ勝ち
9月1日オリックス102529サヨナラ勝ち
9月4日広島6985260サヨナラ勝ち
9月4日ヤクルト9535349サヨナラ勝ち
9月17日DeNA6352278サヨナラ勝ち
9月23日広島7265304サヨナラ勝ち
9月28日巨人5449234サヨナラ勝ち
9月29日楽天153355サヨナラ勝ち
9月30日巨人6387240サヨナラ勝ち
10月3日広島3914137サヨナラ勝ち
10月4日オリックス69419サヨナラ勝ち
10月6日阪神294781サヨナラ勝ち
11月1日ソフトバンク18232651サヨナラ勝ち

 今研究の期間内では、満塁ホームランは31試合で33本、サヨナラ勝ちは53試合で出た。7月27日で広島が、8月26日でソフトバンクが1試合で2本の満塁ホームランを打っている。満塁ホームランまたはサヨナラ勝ちの起こった試合において、表6と表7から、最も盛り上がったシーンについて分析する。

 図4に、満塁ホームランが出た31試合のうち、最も盛り上がったシーンを円グラフで割合ごとに示す。

図4 満塁ホームランを打った試合における盛り上がったシーンの割合グラフ

図4 満塁ホームランを打った試合における盛り上がったシーンの割合グラフ

 図4から、満塁ホームランが58.1%と最も大きい割合を得たが、残りは別の結果となり、そのうちの32.3%が試合終了時となった。試合終了時が最も盛り上がったシーンになった試合では、全て勝利した試合だった。その他が最も盛り上がったシーンになった試合では、3者連続ホームランなど、あまり起きにくいシーンのものがあった。満塁ホームランを打ったからといって、最も盛り上がるシーンになるとは限らないと考えられる。次に、サヨナラ勝ちについて分析する。53試合のうち、全ての試合において、サヨナラ勝ちの瞬間が最も盛り上がったシーンとなった。そのため、本研究の期間内ではあるが、サヨナラ打を打つと、それが最も盛り上がるシーンになると考えられる。

 そこで、サヨナラ勝ちがどれくらい盛り上がるのかを、サヨナラゲームが起きた試合を含む7月20日(金)から7月22日(日)の東京ヤクルトスワローズ対中日ドラゴンズの3連戦に注目して、「3.1 グラフ化における分析例」のようにグラフから分析する。これらの試合は、ヤクルトがサヨナラ勝ちをしているため、ヤクルト側のツイートのみに注目する。

表8(a) 7月20日の試合結果
123456789RHE
D002020000491
S10021320X981
図5(a) 7月20日のヤクルト側におけるツイート推移グラフ

図5(a) 7月20日のヤクルト側におけるツイート推移グラフ

表9(a) 7月20日のヤクルト側における試合内容
番号時刻ツイート数試合内容
@19:03664回裏、1アウトランナーなしからソロホームランを放ち、2-2の同点に追いつく。
A20:051066回裏、1アウト一三塁から3ランホームランを放ち、7-4で勝ち越す。
B20:27517回表、1アウト一二塁のピンチを招くもダブルプレーでピンチを凌ぐ。
C20:47537回裏、2アウトランナー一二塁から2点タイムリーツーベースを放ち、9-4と点差を離す。
D21:09119試合終了、勝利する。
表8(b) 7月21日の試合結果
123456789RHE
D0200100115100
S000002203X7120
図5(b) 7月21日のヤクルト側におけるツイート推移グラフ

図5(b) 7月21日のヤクルト側におけるツイート推移グラフ

表9(b) 7月21日のヤクルト側における試合内容
番号時刻ツイート数試合内容
@20:30637回裏、1アウト満塁からタイムリーヒットを放ち、3-3の同点にする。
A20:33827回裏、1アウト満塁からショートゴロの間に1点をあげ、4-3で勝ち越す。
B21:00548回裏、1アウトランナーなしからツーベースを放ち、一打勝ち越しのチャンスを作る。
C21:291149回裏、1アウト3塁からタイムリーヒットを放ち、5-5の同点にする。
D21:321979回裏、1アウト1塁からサヨナラ2ランホームランを放ち、7-5のサヨナラ勝ち。
表8(c) 7月22日の試合結果
123456789RHE
D1111000004110
S30100001X561
図5(c) 7月22日のヤクルト側におけるツイート推移グラフ

図5(c) 7月22日のヤクルト側におけるツイート推移グラフ

表9(c) 7月22日のヤクルト側における試合内容
番号時刻ツイート数試合内容
@18:28691回裏、1アウト一二塁から3ランホームランを放ち、3-1と逆転する。
A19:26473回裏、1アウト二塁からタイムリーヒットを放ち、4-3と勝ち越す。
B19:32454回表、0アウトランナーなしからソロホームランを打たれ、4-4の同点に追いつかれる。
C21:051028回裏、1アウトランナーなしからソロホームランを放ち、5-4と勝ち越す。
D21:20154試合終了、勝利する。

 3日間のヤクルト側の総ツイート数は、7月20日が3529ツイート、7月21日が4751ツイート、7月22日が3847ツイートである。表8のスコア、図5のグラフ、表9の試合内容から、3試合ともヤクルトが勝ったため、試合終了時が最も盛り上がっている。その中でも、試合終了時のツイート数が、サヨナラ勝ちをした7月21日の試合が198ツイートで、7月20日の119ツイートと7月22日の154ツイートよりも多く、盛り上がりも大きくなっている。これは、総ツイート数からも推測することができる。また、イニング終盤での得点時では、得点の価値も大きく、重要な場面になりやすいため、これも盛り上がりが大きくなっている。

 この結果から、勝敗が決まる試合終了時の方が大きく盛り上がるが、得点時の盛り上がりも大きいことがわかった。よって、試合が進むにすれ、より勝敗に左右されやすく、注目を集める終盤に得点する方が大きな盛り上がりになると考えた。

 なお、図4で示したように、試合終了時以外で最も盛り上がった結果になったものを表10、図6、表11に示す。これは、8月19日(日)の埼玉西武ライオンズ対北海道日本ハムファイターズの試合であり、満塁ホームランを打った西武側のものを示しているが、この試合での最大ツイート数は、満塁ホームランのシーンである257ツイートであり、試合終了時の192ツイートよりも盛り上がっていることがわかる。

表10 8月19日の試合結果
123456789RHE
F1001020004120
L10010050X770
図6 8月19日の西武側におけるツイート推移グラフ

図6 8月19日の西武側におけるツイート推移グラフ

表11 8月19日の西武側における試合内容
番号時刻ツイート数試合内容
@19:26814回裏、2アウトランナーなしからソロホームランを放ち、2-2の同点に追いつく。
A20:481097回裏、0アウト一二塁からタイムリーヒットを放ち、3-4で1点差に迫る。
B21:022577回裏、1アウト満塁から満塁ホームランを放ち、7-4で逆転する。
C21:191328回表、満塁のピンチを凌ぐ。
D21:36192試合終了、勝利する。

 他研究[5]では、リツイートにおいて、ポジティブな情報がより拡散される傾向にあるとされている。そのため、上記のグラフや試合内容から、ツイート数の多かった箇所がポジティブなシーンが多いことがわかる。しかし、その日の両チームの総ツイート数を比較して、多かった場合が勝利であるとは言えない。これは、他研究[2]において、球団ごとにツイートの量が違う結果が出ており、表6と表7の総ツイート数からもわかる。そのため、対戦チームと総ツイート数を比較して、勝利か敗北かを判断することは難しい。

4.まとめ

 本研究では、Twitterにあるプロ野球のツイートから、シーンによってどのような盛り上がりを見せるのかを分析した。シーンによって、盛り上がりも変わるため、違いがあることがわかった。特に、試合内容よりも勝敗でツイート数が変わりやすいことが考えられる。

 今後の課題としては、本研究の期間外における分析をし、更なるデータの収集に努めていきたい。また、試合中のみに限定するなど、時間の見直しも検討したい。さらに、その他のシーンに関しても、どのような盛り上がりをみせるのかを研究し、比較する必要がある。また、他のSNSや、インターネット配信のコメント欄からも同様の盛り上がり方をするのかを検証すべきである。

5.参考文献

[1]観客動員、最多の2555万人 プロ野球 https://www.asahi.com/articles/DA3S13724988.html

[2]曵地 航 プロ野球ゲームでのTwitterのつぶやき分析 東京電機大学 ネットワークシステム研究室

[3]Twitter https://twitter.com

[4]twitter4J http://twitter4j.org/ja/index.html

[5]武市融紀、笹原和俊、鈴木麗璽、有田隆也 ハッシュタグの種類とツイートダイナミクスの関係性 第76回全国大会講演論文集 1号 pp.145-146