Webサイトのコンテンツを重視したSEOの分析

ネットワークシステム研究室

15EC050 齋藤脩平

指導教員:坂本直志

1.はじめに

個人がスマートフォンによりネットワークに接続するようになった現代では、ユーザー同士で情報を共有できる機会が増えている。興味ある情報をソーシャルネットワークサービスでシェアするのが良い例である。

ユーザーが求めているのは自分にとって意味があり、客観的に信頼できるコンテンツである。情報が溢れている時代では信憑性のないコンテンツも多く、間違った情報を信じるとユーザーが不利益を被るからだ。

悪質な広告を宣伝したりステルスマーケティングを行ったりする企業がいたことから、企業の宣伝に対するユーザーの評価は厳しいことである。

間違った情報や不誠実な情報はSNSにいるユーザーによって批判を受けてしまい、商品やサービスを売りにくくなる。一方通行で情報を流せる時代ではないから、ユーザーを騙すのは難しいのである。

だが信頼できるコンテンツを発信してユーザーに信頼されれば、企業の商品やサービスの売り上げを助ける。情報化社会においてコンテンツマーケティングによる集客は必要不可欠なのである。

もちろんコンテンツによる集客は簡単なことではない。Webサイトでの集客は大半が検索エンジンからの検索流入である。ユーザーは自分が欲しい情報を得るために検索するのであり、不要な情報を求めることは無いからだ。

たしかにSNSやブログからの集客もあるが、一般的に検索流入には劣る。特に時間が経っても検索すれば結果が出てくるから、長い期間にわたる総集客数を考えると、新しい情報が目立ちやすいSNSはWebサイトの集客には向かないのである。

さて、検索エンジンからのアクセスを意識するには”Search Engine Optimization”(SEO)を考慮しておくことが良い。本論文では従来の広告手法では商品が売れない時代に、必要なコンテンツによる集客のノウハウについて解説していく。

特にコンテンツを重視したホワイトハットSEOを知ることで、より良い成果につながるだろう。

本論文の構造は次の通りである。まず、第2章では検索エンジンの仕組みやSEOについて解説していく。基礎的な知識を解説したら、第3章でSEOを考慮するメリットやデメリットを解説する。

第4章ではGoogle[1]がWebサイトを評価するアルゴリズムやSEOに最適化する2つの手法について解説する。第5章ではユーザーの行動によって検索順位が変わることについて紹介する。

なぜコンテンツを重視してSEOを行うべきか、Webサイトの評価方法を見ることで理解できるだろう。

2.検索エンジンについて

インターネット上にあるWebサイトのメディアコンテンツをユーザーが見つけるために作られたのが検索エンジンである。検索エンジンとして代表的なのがGoogleである。

仕組みは次のとおりである(図1)。まず、検索エンジンはインターネットにあるWebサイトにアクセスすることで情報を収集する。集めた情報は専用のデータベースに分類されて登録されるのである[2]。

図1.検索エンジンの動作イメージ

この情報を収集するのは人間ではなく、自立型プログラムボットであるクローラーが行う。データベースに登録することをインデックスと呼ぶ。

ユーザーに適切な情報を提供するために、インデックスした情報を適切に評価する仕組みが検索アルゴリズムである。Googleでは数百個の項目からなるランキングシグナルにより、Webサイトの検索順位は決められている。

ランキングシグナルには「キーワードが含まれているか」や「コピーした情報ではないか」といった採点項目が数多にある。このシグナルを対策して検索順位を上げるのがSEOである。

2.1.Webサイトについて

HTMLやCSSにより作成したWebページを集めたのがWebサイトである。個人や企業が何かしらの目的を持ってWebサイトを運営していることが多く、今では1億以上ものWebサイトにインターネットを介してアクセスできる[3]。

Webページに動画や音楽、画像やテキストによるコンテンツを挿入することで、Webサイトの利便性を向上できる。WebサイトからWebサイトにアクセスできるリンクを貼ることで、アクセスのしやすさも向上する。

2.2.SEOとは

SEOは「Search Engine Optimization」を略した単語であり、Webサイトをランキングシグナルに最適することを意味する。Googleの発信するノウハウに従うことで、検索結果上位に目的のWebサイトを表示させることが可能である。

検索アルゴリズムに評価されるようなWebサイトであれば、SEOを考慮したことになり検索順位が上がってくる。そのためSEOにはブラックハットSEOとホワイトハットSEOの2種類が存在する(図2)。

図2.2種類のSEO

2.3.ブラックハットSEO

検索アルゴリズムを騙すことでWebサイトの検索順位を上げるのがブラックハットSEOである[4]。コンテンツの質に係りなくなく検索結果の上位にWebサイトを載せ、Webサイトのアクセス数を増やせるのがメリットだ。

ブラックハットSEOの手法には、有料でリンクを購入してWebサイトの被リンクを増やしたり、複数のWebサイトにおいて相互にリンクしたりするのが挙げられる(図3)。

図3.Webサイトの被リンクを増やすイメージ

Webサイトの被リンクが多いとクローラーがWebサイトを高く評価するから、検索順位が上がりやすくなる。

他にもキーワードを含む隠しテキストを増やして検索エンジンに情報があることを評価してもらう方法や、クローラーとユーザーが見る情報を分けてランキングシグナルに特化したWebサイトをアピールする方法もある。

質の高いコンテンツがあることを示すために、自動生成した文法が正しくて意味のないテキストをコンテンツに盛り込むワードサラダを活用する場合もある。

SEOを考慮したWebサイトの設計は手間がかかるため、未だにブラックハットSEOに頼っている運営者も多い。特にWebサイトの被リンクを増やす手法は効果があるため、検索順位を上げるのに有効である[5]。

2.4.ホワイトハットSEO

Googleが定めたガイドラインに従ってコンテンツを提供することで、検索順位を上げる方法をホワイトハットSEOと呼ぶ[6]。Webサイトにおけるユーザーの利便性を向上させることで、検索エンジンに高く評価されるのである。

Googleが掲げる10の事実[7]の中には、「ユーザーに焦点を絞れば、他の物はみな後からついてくる。」という哲学がある。ユーザーファーストでシステムを運用するからこそ、より多くの利益に繋がるのである。

ホワイトハットSEOの基本的な指標としては以下の4つが挙げられる[8]。

  1. ユーザーの利便性を最優先に考慮してWebサイトを作成する
  2. ユーザーを騙さないこと
  3. Webサイトの検索順位を上げるために不正行為をしない
  4. 自分のWebサイトが持つ価値を上げるためにどうすれば良いか考える

ユーザーのためにより良い情報を提供する必要があるため、ブラックハットSEOと比べて難易度は高い。しかもコンテンツが評価されるには時間がかかるから、検索順位が上がりにくいのも欠点である。

しかしGoogleが検索アルゴリズムを改善した時に、検索順位が下がるリスクが少ないメリットがある。長期的にWebサイトへアクセスされるのを目的にするなら、ホワイトハットSEOのほうが役に立つだろう。

3.SEOを考慮することのメリットやデメリット

Webサイト運営者がSEOを考慮することにはいくつかのメリットやデメリットがある。具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのか解説していく。

3.1.SEOを考慮するメリット

検索エンジンに最適化することで得られるメリットは4つある。

3.1.1.広告費用をかけずに集客を見込める

検索結果の画面において上位を目指す方法として、検索エンジン会社の検索連動型広告を活用する方法がある。つまりSEOを考慮していなくても、ユーザーにWebサイトを目立たせることは可能である。

しかし現状の検索連動型広告はクリック数による課金制であるため、アクセス数が増えるとその分広告費用が増えてしまう欠点がある。そのためたとえ売り上げが伸びたとしても、成果が伸びにくくなるのだ。

さらにGoogleやYahooといった大半の検索エンジンでは、自然検索枠と広告枠を分けて結果を表示しているため、広告を嫌うユーザーは広告枠を全くクリックしないこともある。

ほかにも検索ワードに関連づかずに検索連動型広告により表示された場合、Webサイトにアクセスしたユーザーにとって広告の提供するコンテンツを求めていないこともある。

この場合クリック数は増えても、売上は上がらないのである。つまりWebサイトを不用意に広告で目立たせると購買意欲の低いユーザーを集客してしまい、売上に繋がらないクリックにも料金を支払う必要性が出てくるのだ。

これに対してキーワードに対して求められるコンテンツを発信して、それが検索結果の上位に表示されれば、広告を出さなくても検索意図を持つユーザーがアクセスする。

そのため広告費用がなくても同等の検索結果に近づけて、さらにキーワードをコントロールして集客できるのがSEOのメリットである。

3.1.2.意欲の高いユーザーを集客できる

ユーザーが商品やサービスを知って、実際に購入するまでの行動の仕方として”AISAS”モデルがある。広告代理店である電通が2004年に提唱して、以下の単語の頭文字を略している[9]。

A:Attention(認知)

I:Interest(興味)

S:Search(検索)

A:Action(購買)

S:Share(共有)

消費者はインターネットや店頭で商品を知り、興味があればネット検索で調べる。自分の検索意図に合った商品であれば購買をして、ソーシャルネットワークサービスに口コミをシェアするまでが一連の流れである。

商品を購入する前に検索する行動があり、商品の情報を知ることが出来なければ購買には繋がらない。

インターネットにより誰でも情報を知ることができる今では、Webサイトのコンテンツによる訴求が不可欠であり、それを検索結果に表示することが購買行動に繋がると言える。

ユーザーが必要としている情報を発信して、さらにSEOを考慮しておくことで、商品やサービスの購買や口コミのシェアが拡大する成果が生まれる。

つまりAISASの各行程に対し、SEOは”Search”の部分に効果をもたらす。そして良い検索結果は購買意欲のある見込み客を集客できるのがポイントである。

3.1.3.長期的に集客が可能

検索連動型広告とちがって、SEOによるコンテンツ集客は時間がかかりやすい。それはユーザーに求められるコンテンツかどうかが検索エンジンに評価されるまで、検索結果上位に表示されないためである。

しかし、検索エンジンにWebサイトが評価されるようになれば、検索アルゴリズムの変更やより良いコンテンツが発信されて検索順位が落ち込むまで、キーワードを検索したユーザーによる集客(検索流入と呼ぶ)が期待できる。

これは検索意図が変わらなければ、コンテンツを放置していても検索結果は大きく変動せず、ユーザーは欲しい情報として同じ検索結果が得られ続けるのである。

Webサイトへの検索流入は1つのキーワードだけからではなく、複数のキーワードから行える。したがって特定のキーワードが上位に表示されることに拘らなくても、他のキーワードで集客を続けられる。

つまり、複数のキーワードにおける検索結果のいずれかが上位となるように意識した、質の高いコンテンツを発信しておくことで、一定期間にわたり情報を求めるユーザーからアクセスされつづける。

多くのキーワードで評価されれば、さらにWebサイト全体の評価も上がって長期的な集客が可能である。

3.1.4.信頼性を高められる

インターネットでは悪意を持った事業者が広告で集客し、ユーザーに不利益なコンテンツを発信することも多い。高額な情報商材を売りつけるサイトもあれば、個人情報をだまし取るサイトもある。

こうした傾向によりユーザーは広告よりも、客観的に評価されたコンテンツに価値を見出すようになってきている。検索結果においてもそれは同じことで、広告よりも自然検索結果で上位表示されたサイトのほうが良い印象を持たれる。

SEOにより検索結果が上位に表示されるようになればサイトの信頼性が強くなり、ユーザーへの共感を高められると言える。さらに信頼性が強くなればユーザーが自らシェアしてくれることがある。

その結果として多くのユーザーからWebサイトがリンクされるようになれば、より検索エンジンから評価されるようになり、Webサイトの商品やサービスへの信頼性はますます強くなっていくのである。

つまり、優れたコンテンツを作成することでユーザーの信頼を作り出せる。検索結果が上位であることは信頼に繋がることであり、SEOは信頼性を増やすために最適な手法と考えられる。

Webサイトが信頼されるようになれば、ユーザーには高い価値があることを認識させられる。つまりSEOにより信頼性を上げることで、より良い成果に繋がるのである。

3.2.SEOにおけるデメリット

以上のようにSEOに関するメリットを述べてきた。つまり広告に対するコストをかけることなく、購買意欲のあるユーザーを集客できるのがSEOのメリットである。

しかしSEOによりユーザーを集客するには、以下の3つデメリットがある。

3.2.1.結果が出るまで時間がかかる

質の高いコンテンツを発信しても、すぐに検索エンジンが評価することはない。Googleがコンテンツを評価するには長い時間がかかり、それまでは検索結果上位に表示されることはないのである。

前章ではいったん検索順位における上位を取れば、長期にわたり効果を生むメリットとして挙げてきた。この上位を取るのが難しい商品やサービスを長期的に宣伝するために、コンテンツを発信して検索流入による集客を希望するなら問題は少ないのである。

成果が出るまで待つ必要があるが、評価されればコンバージョンに繋がるのだから。しかし特定の短い期間にだけ行うイベントやキャンペーンを行う場合は、SEOよりも検索連動型広告を使うことを勧める。

それは質の高いコンテンツにかけるコストは割に合わず、短い期間であれば比較的広告費は安く済むためである。長期的に宣伝を行っていくことを考えた時にこそ、コンテンツマーケティングは価値が出てくる。

従ってSEOを活用するかどうか決めるには、期間やコストを考慮することが必要である。

3.2.2.上位表示しにくいキーワードがある

Webサイトの評価を上げるにはキーワードを想定して質の高いコンテンツを作ることが重要である。ただ、問題はユーザーが多く検索するキーワードは、もともと大手企業が検索結果を独占している場合がある。

例えばキーワード検索チェックツール[10]によると「転職」、「クレジットカード」、「仮想通貨」といったキーワードには10万以上の検索ボリュームがある。(2018年10月現在)。

これらのキーワードは高い収益が得られることもあり、ドメイン評価の高いWebサイトが検索結果の上位に並んでいる。

従って新規のWebサイトがコンテンツを発信したところで、上位に表示される確率は低いのである。

このためキーワードを複数選ぶことや検索ボリュームが低いキーワードを狙えば、検索エンジンによる評価が低いWebサイトでも上位表示は見込める。つまりライバルとの競争が厳しいキーワードから避けるのが最善である。

3.2.3.確実に検索順位を上げる方法はない

本論文では次章以降で検索エンジンに最適化させるために、コンテンツを重視したポイントを解説していく。

その根拠資料としてGoogleが提供する情報に基づいているから間違いは少ないが、広く知られている情報であるため、他社と比較して大きな効果が確実に出るとは限らないのである。

さらに検索エンジンの中身は一般に非公開のブラックボックスであり、GoogleですらWebサイトを正確に採点することはできないのである。

したがって特に質の高いコンテンツであっても、システムが本来の情報価値が考慮せず、検索結果に表示されないこともある。

一方でより利便性の高いサービスをユーザーに届けるために、Googleはつねにアップデートを続けている。そのため昔は有効だったSEOの小手先の手法は今では役に立たないこともある。

つまり検索エンジンにコンテンツを最適化するためには、古い情報を信じ続けるのではなく、いつも最新の情報を知っておくことが必要である。

時代遅れのWebサイトは評価されなくなることを覚えておこう。さらにあらかじめ、誰にとってもフェアな方法に過大な期待はつつしむべきである。

4.SEOの原理と2つの手法

インターネット上には膨大な数のWebサイトやコンテンツが日々アップロードされていて、検索エンジンはWebサイトをアルゴリズムにより評価している。Webサイトの情報量は膨大になっていくため、全てを人間が評価することは不可能である。

Webサイトのコンテンツは量的に人間の感覚で評価できないから、200以上ある項目により機械的に価値があるか採点をするのである。

そしてユーザーにとって価値があり信頼性があれば、そのWebサイトは高い順位を得られるように項目は常に見直され調整されている。

Webサイトの目的がユーザーに役に立つことであり、そしてそのWebサイトの目的を果たしていれば高評価となる[11]。逆にユーザーが不利益を被るWebサイトであれば、検索結果に表示されなくなるだろう。

Googleはユーザーの検索意図を重視しているから、よりユーザーを助けるコンテンツを他のページよりも上に表示する。従ってWebサイトの目的を決めることがSEOの第一歩である。

4.1.Googleのアルゴリズム

検索サービスを提供するGoogleがWebサイトをどの観点から評価して、どのようなWebサイトが高く評価されるのか解説していく。

4.1.1.E-A-Tの3つが評価軸

ユーザーが助かるレベルのWebサイトには、GoogleはE-A-Tが備わっていると定めている。E-A-TとはExpertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、TrustWorthness(信頼性)である。

なお、この「専門性」は学問の世界で求められるような知識だけでなく、個人の経験で得たこを含んでいる。つまり個人的な経験がユーザーにとって役に立つのであれば、そのコンテンツには専門性があると言える。

ただし人命にかかわる医療アドバイスや金融情報においては、間違った情報によりユーザーにリスクが生じる。Googleは人名やお金に関わることにおいて、権威性ある人が発信した情報を評価する。

逆にデマやユーザーに不利益を与えるような、信頼性のないWebサイトは評価されなくなる。検索結果上位に表示されるにはユーザーからの信頼を積み重ねることが重要である。

4.1.2.Googleが示す検索エンジン最適化とは?

SEOを分析するならば、検索エンジンを提供するGoogleから情報を得るべきである。アルゴリズムを設計しているGoogleであれば、一番信頼性の高いSEOの方法を知ることができると考える。

検索エンジンに最適化したいWebサイト管理者のために、Googleは検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド[12]を提供している。ガイドには以下のような内容がまとめられている。

4.1.2.1.Googleがコンテンツを理解できること

Webサイトを巡回するGooglebotが登録してあるサイトにアクセスすることで、Googleはコンテンツを評価する。そのためサイトの設計が完了して公開したら、Googleが提供するSearch Console[13]にサイトを登録しよう。

Googlebotがコンテンツを正確に評価できるよう、スクリプトや画像といったファイルへのアクセスを制限しないよう気をつけよう。Googlebotがユーザーと同じようにコンテンツを認識する必要がある。

コンテンツは狙うキーワードに最適なタイトルと内容を入れることが肝要だ。さらにユーザーにとって読みやすく、アクセス先のページにあるコンテンツが分かりやすいことで高評価される。

また、文章には見出しタグや強調といった装飾をつけて、ユーザーに重要な個所を教えることが重要である。そして、ページにある本文を構造で分けることによって、より理解しやすいコンテンツとなる。

4.1.2.2.コンテンツを整理すること

検索エンジンはユーザーに分かりやすくWebサイトを示すために、サイト内コンテンツのまとまり毎にURLを必要とする。1つのコンテンツに対して1つのURLを設定することで、検索エンジンに評価されるのである。

ユーザーから最も表示されるホームページには、ユーザーが求めるコンテンツにアクセスしやすいようナビゲーションを設定しておこう。GoogleがWebサイトを評価するのにも役に立つのだから。

Webサイトの上部か下部にパンくずリスト(閲覧しているページが位置するWebサイトの階層やポジションを示す[14])を表示すれば、ユーザーがセクションを移動するのに便利である。

ユーザーの役に立てばWebサイトが評価されるのだから、リストを表示しない理由はない。

ユーザーが無効なURLにアクセスした時に、意味のある404(Not Found)ページを表示することも必要である。サイト上のコンテンツを親切に案内すれば、Webサイトの利便性は向上されるのだから。

4.1.2.3.コンテンツを最適化すること

ユーザーから求められるコンテンツを発信しなければ、検索エンジンに評価されることは無い。

アクセスしたユーザーに有益なコンテンツであれば、SNSやブログ等にてシェアされるようになり、評価項目であるWebサイトの被リンク数が増えるのである。

ユーザーはキーワードを検索するとき、何かしらの検索意図をもっている。ユーザーの意図を察して独自のコンテンツを発信することで、他のサイトよりも評価される場合がある。

コンテンツの内部に適切なWebサイトのリンクを入れることで、ユーザーの利便性を高めることは可能である。効果的なテキストリンクを記述することで、ユーザーは良いナビゲートを行える。

画像を表示できない場合や画像を見ることができない人を考慮して、画像のalt属性には代替テキストを入力しておこう。代替テキストがあればユーザーもGooglebotもコンテンツを深く知ることができる。

4.1.2.4.モバイルフレンドリーにすること

スマートフォンが普及してきた今では、Webサイトをスマートフォンのサイズに最適化することも求められる。PC向けのサイトは大きいため、スマートフォンでは使いにくいのである。

そのため、Webサイトをモバイルに最適化することで、検索結果ランキングで有利になりやすい。というのもGoogleは2016年後半からモバイルバージョンのコンテンツを優先評価するテストをしていて、PCよりも重視しているからである。

これは画面サイズによってレイアウトが変わるレスポンシブデザインや、PCとスマートフォンでURLを変更することで対応可能である。SEOのためだけでなく画面の小さいスマホでアクセスするユーザーをも考慮しておこう。

4.2.ブラックハットSEO

Googleが示す指標は、ユーザービリティを向上させることで、Webサイトの評価を上げることが可能と読める。だがWebサイトを検索結果上位に表示させるだけなら別の方法もある。

検索エンジンのアルゴリズムにおける欠点をつくことで、質の低いWebサイトでも評価を上げられることがある。このような手法はしばしばGoogleが不正と見なす手段で検索順位を向上させる。

ブラックハットSEOを行うのには理由がある。例えば一般的に被リンクが多いWebサイトは多くのユーザーから人気がある。そのため検索エンジンはWebサイトの被リンク数で評価をする。

ただし、この評価を単純に無条件で行うと一部のWebサイト運営者は大量の被リンクを購入して、検索順位を上げたいWebサイトのリンクを大量に配置することがある。

ユーザーに有益でないWebサイトでも作為的に被リンクを増やすことで、検索エンジンはは高く評価してしまうのである。ただし検索順位を評価基準にすることをコンテンツ作者たちに意識させることで、ユーザービリティが高くなることもある。

特によくリンクが貼られているWebサイトはユーザビリティが高いので、GoogleはこれからもWebサイトの被リンク数を考慮して検索順位を決めるだろう。

その一方で質の低いコンテンツでも安易に評価を高められるから、一部のWebサイト運営者はブラックハットSEOで検索順位を上げようとするのである。

しかし質の低いコンテンツが上位に表示されると、ユーザーに役に立たない情報が目立ってしまいGoogle検索の利用価値が下がってしまう。

そのためGoogleは検索エンジンの評価アルゴリズムのアップデートにより不正を取り締まっている。現在では、不自然に被リンクが多いWebサイトや他のWebサイトからコピーされたコンテンツは評価されにくくなっている。

検索エンジンのアルゴリズムをGoogleが改善することにより、ブラックハットSEOは一過性のものとなりがちである。

4.3.コンテンツが重視されるホワイトハットSEO

ユーザーは欲しい情報を求めて検索を使うので、ユーザーのために質の高いコンテンツを提供してWebサイトの検索順位を上げるのが本来あるべき情報提供だろう。

これを目指す方法がホワイトハットSEOである。別名としてコンテンツSEOとも呼ばれる。

代表的な手法の1つとは検索ボリュームの大きいキーワードを分析して、検索意図に合ったコンテンツを発信することで検索エンジンからの評価を上げる方法が挙げられる。

これにより検索意図にマッチしたコンテンツであるほど検索流入が増えて、商品やサービスの販売につながるだろう。

さらにホワイトハットSEOではそこまで検索ボリュームが高くないキーワードも狙うため、アクセス数が急に下がることを防ぐことも可能である。より良いコンテンツを発信し続けることで集客を維持できる。

今ではSNSによるユーザー間における価値の高いコンテンツの共有も盛んになっているので、コンテンツによる集客の重要性は強くなっている。

不正行為であるブラックハットSEOはGoogleにより規制されていく一方で、真に価値の高いコンテンツを目指すホワイトハットSEOによるWebマーケティングは必要不可欠である。

4.3.1.ホワイトハットSEOに求められる要素

ブラックハットSEOとは違って複雑な作業をする必要はなく、Webサイトに新しいコンテンツを増やし続けることでホワイトハットSEOにつながる。コンテンツを増やすことで検索ユーザーの入り口は増えていくのである。

しかし、やみくもにコンテンツを増やしたところで、ユーザーに役立たなければWebサイトの検索流入は増えない。企業で集めた情報やノウハウを、分かりやすく発信する姿勢が必要である。

一部の企業では検索順位を上げるためにオリジナリティや信頼性の低いコンテンツを大量に集めたいわゆるキュレーションサイトもあるが、2017年2月にGoogleがアップデート[15]して評価が落ちている。

Webサイトを利用するユーザーを考慮してコンテンツを作成しなければ、検索エンジンからの評価は下がりWebサイトの検索順位は伸び悩むだろう。このためホワイトハットSEOには以下の3つの要素が求められる。

4.3.1.1.ターゲットユーザーが決められていること

Webサイトを運営するには必ず目的がある。企業で販売している商品の売り上げを伸ばしたいところもあれば、専門分野にてコンサルティングやサービスを行う企業もあるだろう。

重要なのはWebサイトのターゲットユーザーが明確に決められていることだ。ターゲットユーザーが決められていないと、Webサイトのコンテンツがまとまらなくなりユーザビリティが下がってしまう。

ユーザーにとって使いにくいWebサイトは評価が下がりやすく、質の高いコンテンツであっても検索順位が伸びにくい。

何かしらテーマが決められていなければ、コンテンツを継続して発信するのも難しくなる。明確にコンテンツを発信する相手が決められていれば、どのようなコンテンツを発信していくかが自ずと分かる。

継続的なコンテンツの発信をしていくには、Webサイトのターゲットユーザーを決める必要がある。

4.3.1.2.ユーザーの疑問や悩みを解決できること

自ら検索を行うユーザーは何かしら疑問を持っている。現在地の近くにあるレストランを探しているユーザーもいれば、新しいスマートフォンの情報を知りたくて検索するユーザーもいるのである。

検索するユーザーの検索意図を満たすには、ユーザーの疑問点や悩みを解決するコンテンツを発信することが重要である。Webサイトを読んだだけで疑問を解決できるコンテンツなら、検索エンジンは自動的に高く評価する。

Webサイト管理者は自身の目標を達成するために、ユーザーがどんなことを知りたいのかリサーチしておくことが必要である。Webサイトごとに情報を並べて、疑問を解決できるよう発信するべきである。

ユーザーの検索意図を満たし続けられるコンテンツは評価されやすく、時間が経過しても検索順位を落としにくい。質が高くてユーザーに役立つコンテンツにより、検索流入による集客は維持できるのである。

4.3.1.3.ユーザーの検索意図に合わせて更新すること

コンテンツ制作者が満足できるWebサイトであっても、ユーザーには不評なコンテンツである場合がある。狙っているキーワードでのWebサイトの検索順位が上がらなければ、ライバルサイトを分析することが必要である。

検索順位の高いWebサイトにはユーザーが求める情報が適切にあり、情報量が多い。さらにユーザーの検索意図を満たすためには、情報の新鮮さを保つためにコンテンツを適度に更新すべきである。

ほかにも複数のライバルサイトを読み込んでおくことで、コンテンツの量を増やすのも容易になる。継続してコンテンツを発信していくには、ライバルの発信するコンテンツを分析するのは必須である。

客観的に質の高いコンテンツを作成するには、運営者が集めたデータだけでなく、ライバルが持っている情報も活用することを勧める。参考文献が多いほど、より良いコンテンツを作成できるのだから。

5.Webにおけるユーザー行動とSEO

GoogleはユーザーがWebサイトにアクセスする流れを分析していて、多くのユーザーがアクセスするWebサイトは高く評価される。ユーザーにWebサイトを評価されるにはどうすれば良いか解説していく。

5.1.ユーザーに好まれるコンテンツとは?

Googleは検索結果からWebサイトにアクセスしたユーザーの情報を追跡できる。ユーザーがWebサイトにアクセスする時間が長くて、直帰せずにページを移動すれば評価は上がる。

Webサイトにアクセスするのはユーザーなのだから、ユーザーからの評価を上げることで結果的にGoogleからの評価を上げられる。ユーザーの満足度を上げるには以下の3つの要素が重要である。

5.1.1.画像や動画等の追加情報を挿入する

テキストだけではユーザーが理解できない分野もあるため、表や画像といった要素をWebサイトに取り入れて分かりやすくする必要がある。

さらに動画や音楽といった情報も、分かりやすさの為であれば検索順位に効果がある。

ただし画像や動画の多いコンテンツは評価されにくい場合もあるが、適切にテキストを入力しておけば問題は無いのである。

視覚的情報の間に重要なキーワードや文章を入れておけば、Googleはシステム上で理解できる。

そして代替テキストを画像に設定しておけば画像を見れないユーザーにも役に立つし、Webサイトのリンクにはアクセス先の情報を適切に表現すれば信頼性も出てくる。

視覚的情報によりアルゴリズムを騙すこともできるが、ホワイトハットSEOでは不要である。ユーザーのために適切な情報を追加して、より分かりやすいコンテンツを作成することが重要である。

5.1.2.不必要な情報を入れない

Googleは優れたコンテンツの条件として網羅性を求めているが、情報が多いだけではユーザーにとって価値は無いのである。キーワードに含まれる検索意図を満たした記事が必要とされる。

ユーザーに必要とされていないコンテンツが含まれていると、Webサイトの直帰率や離脱率が増えてしまい、SEOに悪い影響を与えてしまう。必要以上に情報を入れてしまうと価値は下がるのである。

プログラミングの学習法を教える記事に料理のコツを入れる必要はないし、商品のレビュー記事で芸能人のスキャンダルが書かれていても無駄である。1つのコンテンツに対して1つのテーマであることが望ましい。

コンテンツの量を増やして検索順位を上げる手法は、ユーザーの追跡をGoogleが行える今では難しい。SEOを考慮して価値のあるコンテンツ作りをするならば、不必要な情報はコンテンツから削っておこう。

5.1.3.信頼性のある情報である

企業や個人が情報を発信する今では、デマやフェイクニュースによる社会問題が起きている。ユーザーに不利益をもたらす信頼性のない情報は、検索順位を下げてしまうから要注意である。

また、仮に事実だけを取り上げていても、あらゆる情報をまとめて発信するキュレーションサイトや、匿名の掲示板を編集して発信するまとめサイトは評価が低くなりやすい。根拠のない情報発信はGoogleが評価しないのである。

コンテンツに情報を引用するときは、信頼できる機関が発信しているか確かめておこう。実際に専門家が監修していたり、一次データから引用したりすれば信頼性を増やせる。

ユーザーの人生に関わるお金や医療などにかかわるコンテンツでは、情報による影響が強いため信頼性が厳しくチェックされている。専門家でない作者が発信したコンテンツは評価されにくいので気をつけよう。

5.2.複数あるユーザーの検索意図

同じキーワードであってもユーザーによって検索意図が違うことが多々ある。ユーザーの検索意図には多様性があるため、検索順位を上げたい運営者は一番多い検索意図を知っておくべきである[16]。

例えば「壊れた家具」というキーワードを想定する。このキーワードを読み取っただけでは壊れた家具を修理したいのか、壊れてしまった家具を業者に処分したいのか不明である。

しかし壊れた家具を購入したいユーザーが「壊れた家具」で検索して、家具を修理したいユーザーがあまり検索しなければ、検索意図は「壊れた家具を処分したい」となる(図4)。

図4.「壊れた家具」の検索結果

検索エンジンは主に多数決により検索意図を評価して、より強く検索意図を満たしたコンテンツを上位に表示する。弱い検索意図であれば検索順位が下がるので、Webサイトへの集客力は弱くなる。

コンテンツを作成するときには、あらかじめキーワードの強い検索意図は何か知っておこう。より多くのユーザーが求めるコンテンツであれば、検索順位が上がっていくのだから。

5.2.1.検索意図を読み取るには?

狙っているキーワードを検索すれば、上位に検索意図を満たした記事が出るので分かりやすい。もし逆にキーワードの検索意図を広く知りたいのであれば、以下の2つの方法を試してみると良い。

5.2.1.1.検索結果のサジェストから読み取る

「就活」や「エンジニア」といった検索ボリュームが大きくて複数の検索意図があるキーワードをGoogleで検索する際に、ユーザーの利便性を高めるために検索結果一覧の下側にサジェスト候補を並べてくる。

「就活」であれば「就活 いつから」や「就活 スケジュール」といった候補が出てくる。これは検索する際の利便性を高めるためなのだが、これから逆に「就活」で検索するユーザーは、「いつから就活を始めればよいのか」気にしていることが分かる(図5)。

図5.「就活」のサジェスト候補

「エンジニア」であれば「エンジニア 定義」や「エンジニアになるには」といった候補や、「エンジニア it」という機械以外のケースもある。キーワードによってサジェスト候補の関連性がばらけることが分かる(図6)。

図6.「エンジニア」のサジェスト候補

一見、キーワードだけでは分からない検索意図も、サジェスト候補からある程度分析することが可能である。上位表示されるWebサイトで検索意図が読めなければ、サジェスト候補を見るのが有効である。

5.2.1.2.ネットの掲示板から読み取る

Webサイトの掲示板には悩みをもったユーザーが相談するところがある。そのような悩みそのものを収集するために、クリエイターがSEOを考慮した記事を作成をするときには、Yahoo!知恵袋[17]がよく参考として使われている。

例えば「脱毛」で検索すれば「オススメの脱毛方法」や「永久脱毛の効果」といった疑問を持つユーザーがいることがYahoo!知恵袋を検索すると分かる(図7)。

図7.Yahoo!知恵袋における「脱毛」の検索結果

そしてユーザーが抱え持つ悩みを解決するコンテンツを発信すれば、Googleから評価されるようになる。

「転職」で検索すれば「転職エージェントは役に立つか?」や「転職すべきか悩んでいる」という相談が上位に表示される(図8)。知恵袋にもサジェスト候補が出てくるので、合わせて検索意図を考慮するのが良いのである。

図8.Yahoo!知恵袋における「転職」の検索結果

ユーザーは悩みを持って検索することも多いから、悩みが集まる掲示板サイトは検索意図を読み取るのに良いツールとなる。発信するコンテンツを作成する前に検索意図を理解しておこう。

5.3.ユーザーによって検索結果は変わる

ユーザーのインターネット体験をGoogleが管理している今では、ユーザー個人に合わせた検索結果の表示が行われている。ユーザーに応じた検索結果の調整をパーソナライズド検索と呼ぶ。

パーソナライズ検索によりユーザーはより便利に検索を使うことができる。個人で使用するパソコンを検索した後に、「Mac」で検索してもファストフードが出てくる可能性は低いのである。

今ではスマートフォンの現在地を検索エンジンが活用できて、店名を検索することで付近のお店を検索結果に表示させることもできる。個人の情報に合わせた調整はこれからも続くだろう。

ユーザー個人の要素によって検索結果が変わるので、個人の特性に特化していない正確な検索順位を知りたいときはプライベートブラウズ機能を使うと良い。

Webサイト運営者は自身に最適化された検索結果を見て、一般的な検索意図を誤って分析しないよう注意すべきである。

5.3.1パーソナライズド検索に影響を与える要素

Googleはユーザーが検索したキーワードだけでなく、アクセスしたサイトやユーザーの現在地を追跡する。それぞれの要素により検索結果がどのように調整されるのか見ていこう[18]。

5.3.1.1.過去に検索したキーワード

人によって興味を持つ分野や趣味は異なり、ユーザーによって検索するキーワードの傾向は変わる。より良いユーザーエクスペリエンスを提供したいGoogleにとって、検索履歴は重要となる。

ネットショッピングに興味があり、商品をよく検索するユーザーには、専門的な知識やノウハウよりもECサイトを上位に表示させるほうが役に立つのである。

趣向を分析して最適化することでユーザーが欲しい情報をすぐに提供できる。

ユーザーは悩みをもって検索する場合が多いため、検索エンジンはユーザーが検索したキーワードによりユーザーの状況をも分析するのである。

キーワードには検索意図が含まれるから、より個人のユーザーの検索意図に検索結果を合わせられる。

数多くのサービスが普及している時代では、1人1人に合わせたサービスの提供が重要となる。検索履歴を考慮した検索結果の調整は、Googleのマーケティングによりサポートされている面がある。

5.3.1.2.アクセスしたWebサイト

ユーザーが1回しかアクセスしないサイトもあれば、毎日に複数回アクセスするサイトもある。

今では企業のオウンドメディアや個人のブログも増えていて、毎回検索してアクセスする人もいるだろう。

アクセスしたサイトの履歴を考慮すれば、ユーザーに合わせて特定のサイトにおける検索順位を上げられる。

履歴からユーザーの趣向を分析することで、個人のユーザーに合わせて検索結果を変えられるのである。

Googleは”Google Analytics”をサイト運営者に受け入れさせることで、ユーザーがどのようにWebサイトを回遊するかデータを収集できる。

サイト履歴だけでなく、アクセスするWebサイトからもユーザーを分析できる。

AIによりユーザーが興味を持ちやすい分野を、クリックしたWebサイトやアクセス履歴から読み取れる。興味が分かればパーソナライズド検索によってユーザーに最適なサイトを提示できるのである。

5.3.1.3.ユーザーの現在地

スマートフォンのGPSやネットワークに接続する通信局から、ユーザーの現在地はGoogleが簡単に読み取れる。現在地から1人1人のユーザーにとって需要のある要素を検索結果に表せる。

ランチやディナーにおすすめのお店を探しているユーザーであれば、これにより飲食店の名前を検索することで近くのお店を簡単に見つけられる。地名を入力しなくてもユーザーに十分な情報を提供できるのである。

移動日の当日に近くのホテルに泊まりたいのであれば、Googleで「ホテル」と検索するだけで周辺のホテルを価格と共に表示する。気に入ったホテルをクリックしたら、予約サイトにアクセスできる(図9)。

図9.「ホテル」の検索結果

今やわざわざ飲食店やホテルといったお店のWebサイトから探さなくても、Googleでキーワードを入力して検索するだけでお気に入りのお店は見つかる。

現在地を考慮したパーソナライズド検索はユーザーの手間を省けるのである。

5.3.1.4.SNS上の人間関係

今ではTwitterやFacebookで人間関係を保っている人たちも中にはいる。SNSで繋がっているのであれば、検索エンジンは特定ユーザーの人間関係を考慮した検索結果を用意できる。

従ってあるキーワードで検索した時に、ユーザーがフォローしている人のブログ記事が上位に表示するのは容易である。

名前が企業名や地名と被っていても、SNSで繋がっているならユーザーの親しい人を優先して表示する。

Google検索エンジンが人間関係を検索結果に反映しておけば、ユーザーは利便性を感じてGoogleを使い続けるのだろう。SNSを分析して人間関係を考慮したパーソナライズド検索を提供するのは合理的である。

5.3.2.パーソナライズド検索を考慮する必要性

2018年現在、Googleは「ユーザーの現在地」と「直前の検索内容」に2つの要素に絞って検索結果に反映しているのである[19]。上記に示した要素による影響はそこまで大きくないことが分かる。

パーソナライズド検索の要素があまり影響しない理由として、ユーザーに適さない結果をも表示しやすいことがある。

さまざまな状況下でユーザーが検索を行うため、個人情報を考慮しても検索結果を改善しないのである。

ユーザーの現在地からお気に入りのお店を表示したり、直前に検索したキーワードから検索結果を変更する程度がちょうど良いとGoogleは見ている。

だからWebサイト運営者はパーソナライズド検索を重視して考慮する必要はないのである。

ユーザーにとって役に立つ質の高いコンテンツを提供し続ければ、検索流入は勝手に増えていくのだから。個人情報による検索結果のちがいに左右されることなく、コンテンツを更新する姿勢のほうが重要である。

6.おわりに

運営するWebサイトの検索順位を上げる難易度は、昔と比べて高くなっている。情報を発信する企業や個人が増えているため、SEOを考慮しても検索順位を上げられるとは限らない。

検索エンジンのアルゴリズムが強化されている今では、Webサイトの被リンクを作為的に増やしたりダミーサイトを活用したりしても失敗する。ブラックハットSEOの有効性は少なくなっているのである。

検索アルゴリズムの向上によりGoogleのガイドラインを遵守して検索順位を上げるホワイトハットSEOが重要となる。ホワイトハットSEOにはユーザーの利益につながるコンテンツが必要である。

ユーザーの期待に応える質の高いコンテンツにより、集客をしていく姿勢がWebサイト運営者に求められる。ユーザーの利便性を最優先に考慮しなければ、Webサイトにアクセスされなくなる。

検索エンジンに評価されるには専門性があるだけでなく、コンテンツが整理されていることも重要である。ユーザーにとって分かりやすいWebサイトが検索結果の上位に表示されるのだから。

今ではスマートフォンでWebサイトにアクセスするユーザーが数多くいるため、モバイル端末の画面サイズに対応したWebサイトを作る必要がある。レスポンシブデザインやモバイル専用のWebサイトを用意することで、検索順位にも良い影響が出てくる。

コンテンツを作るときはキーワードを検索するユーザーの検索意図を考慮すべきである。多くのユーザーが疑問に思っていることを解決できるコンテンツであれば、検索エンジンに高く評価されるのだから。

テキストだけではユーザーが理解しにくい情報があれば、画像や動画をWebサイトに埋め込むことも必要である。視覚的な分かりやすさがあれば、ユーザーの満足度を上げるのにもつながる。

情報の網羅性はたしかに重要ではあるが、検索意図を考慮して不必要な情報をWebサイトに含めないことだ。無駄な情報が多いと離脱するユーザーが増えてしまい、検索順位に悪い影響を与えてしまうのである。

検索意図を読み取るためにはユーザーが書き込む掲示板を分析したり、検索結果のサジェストから読み取るのが有効である。多くの人が抱いている疑問をコンテンツで解決できるようにすべきだ。

Googleはユーザーのアクセス履歴や過去に検索したキーワードによって検索結果を変えるパーソナライズド検索を提供している。1人1人のユーザーによって検索結果は変わってしまうのである。

しかしパーソナライズド検索は検索順位に大きく影響しないため、Webサイト運営者は深く考慮する必要はない。ユーザーの利便性を最優先に考慮していれば、Webサイトの高い検索順位を維持できるからだ。

信頼性を増やしつつユーザーの集客を行うには、ホワイトハットSEOを考慮してWebサイトを運営する姿勢が求められる。検索意図に応えるコンテンツを更新していくことで、結果的に運営者は利益を得られるのである。

7.参考文献

[1]Google[Google]https://www.google.co.jp/

[2]検索エンジンとは?Googleの仕組みと理念[ferret]https://ferret-plus.com/11151

[3]Internet Live Stats - Internet Usage & Social Media Statistics[W3C]

http://www.internetlivestats.com/

[4]ブラックハットSEOとホワイトハットSEO[ferret]https://ferret-plus.com/1924

[5]被リンクを増やして10日後に「4位」、1ヶ月後「2位」まで上昇したサイトのSEO事例

[SEOラボ]https://seolaboratory.jp/93418/

[6]ブラックハットSEOとホワイトハットSEOの違いをわかりやすく解説[SEOラボ]

https://seolaboratory.jp/50555/

[7]Google が掲げる 10 の事実[Google]https://www.google.com/intl/ja/about/philosophy.html

[8]ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)[Google]

https://support.google.com/webmasters/answer/35769?hl=ja

[9]“Dual AISAS”で考える、もっと売るための戦略。[電通]https://dentsu-ho.com/articles/3100

[10]キーワード検索数 チェックツール[devo]http://aramakijake.jp/

[11]General Guidelines[Google]

https://static.googleusercontent.com/media/www.google.com/ja//insidesearch/howsearchworks/assets/searchqualityevaluatorguidelines.pdf

[12]検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド[Google]

https://support.google.com/webmasters/answer/7451184?hl=ja

[13]Google Search Console[Google]

https://search.google.com/search-console/about

[14]パンくずリストとは〜SEOに有効な理由と関係性を解説[ferret]

https://ferret-plus.com/2408

[15]日本語検索の品質向上にむけて[Google]

https://webmaster-ja.googleblog.com/2017/02/for-better-japanese-search-quality.html

[16]ECサイトが“検索意図”を把握したコンテンツマーケティングで成果を出す方法[ECzine]

https://eczine.jp/article/detail/5143

[17]Yahoo!知恵袋 - みんなの知恵共有サービス[Yahoo!Japan]https://chiebukuro.yahoo.co.jp/

[18]Googleパーソナライズド検索を理解して本当の順位を知る方法[BLOOM PROMOTION]

https://www.bloom-promotion.jp/journal/web-knowledge/personalized.html

[19]We sat in on an internal Google meeting where they talked about changing the search algorithm — here's what we learned[CNBC]

https://www.cnbc.com/2018/09/17/google-tests-changes-to-its-search-algorithm-how-search-works.html