eBay APIを利用したオークションの入札者行動の分析

17EC082 服部一真

目次

1. 研究背景・目的

オークション理論は1980年代から情報の経済学やゲーム理論の中で発展した理論であり、アメリカの周波数オークションの設計での成功やインターネットオークションの発展から研究が盛んになった比較的新しい研究分野である。

この理論は様々な方式のオークションを分析し、結果の予測や、より効率的で期待収入の高いオークションのデザインを可能にする。

近年、amazonやメルカリなどのサイトに代表される電子商取引市場は拡大を続けており、次々と革新的な取引方法や制度が生み出されている。インターネット上での取引の形は常に需要や規制の影響を受け変化し続けている。

そのため現代のネットオークションにおいて利用者がどのような目的や戦略をもって参加しているかを調査することによって効果的なオークション形式や入札の戦略を推測できると考えた。

今回の研究では分析対象は欧米を中心に利用されているネットオークションサイトeBayとした。eBayはAPIを利用してどの入札者がいつ入札したかの詳細情報を取得できる。これらのデータを収集し、複数の観点からオークションを分析することを研究の目的とした。

2. 準備

2.1 eBay

eBayは1995年にアメリカで創業され、本社をアメリカに置くグローバル電子商取引企業である。「世界中の誰であってもどこにいても成長し繁栄する機会を提供する」ということを理念としており、世界中で約1.6億人の利用者、約2500万人の売り手がおり世界最多の利用者を持つインターネットオークションサイトである。

以下にeBayでの取引の流れについて説明する。

  

まずeBayで売買を行うにはアカウントを作成する必要がある。売り手はまず出品する商品のカテゴリや類似商品を選択し、その後、商品の状態や写真、説明など詳細情報を記入する。ここでオークションについて細かい設定が可能である。

具体的に設定項目について以下に紹介する。

買い手は希望するオークションを見つけたら現在の入札額より高い自由な額を入力して入札に参加できる。自動入札機能を利用すれば設定した上限額まで自動でシステムが入札してくれる。オークション終了直前に入札が行われた場合、オークション期間は数分延長される。

2.2 eBayのオークション方式

eBayは英国型オークションに分類されており、第二価格入札方式を採用している。英国型オークションは現在の最高入札額は参加者に公開され、参加者は最高額を上回る入札を提示する競り上げオークションである。第二価格入札方式では落札者の支払い額は入札時点の最高額に送料を加えたものになる。つまり落札者は自身が提示した最高額ではなく、次点の入札額となる。この方式が入札者に評価額での入札を促し、オークションの効率性を向上させることがヴィックリー(参考文献1)により示されている。

2.3 eBay API

eBayではeBayプラットフォームへの直接アクセスを可能とするAPIが提供されている。APIを利用すればeBayのデータベースにアクセスし、様々な情報を取得することが可能である。

APIの利用にはデベロッパーアカウントの登録が必要であり、メールアドレスアドレスや利用目的などを送信すれば誰でも利用することができる。デベロッパーアカウントに登録すると翌日にはeBay APIを呼び出す際に必要となるアプリケーションキーが提供される。本研究ではこのキーを利用して商品情報を取得するプログラムをpythonで作成した。

eBayのAPIには用途に応じたさまざまな種類がある。本研究で利用したAPIを以下に紹介する。

3. 関連研究

ポール・ミルグロム著「オークション理論とデザイン」(参考文献1)によると2番目に高い入札額が支払価格を決める2位価格封印入札が参加者に真の評価値での入札を促す効果があることが示されている。これは参加者は嘘の評価値で入札を行っても利益を得ることができないためである。したがって2位価格入札方式を採用しているeBayにおいても参加者が真の評価値で入札することが望まれ、そのように設計されていると考えられる。

永星浩一氏の「ネットオークションにおける情報と入札行動の研究」(参考文献2 )ではネットオークションは競り上げ式と競り下げ式のオークションの折衷方式とみなされている。これはネットオークションでは終了時間までに入札がなかった場合、開始価格を下げて再出品することが容易だからである。その仮定の下、Yahoo!オークションでの入札者の応札行動ならびに落札行動のシミュレーションがなされた。結果示されたのは以下の点である。

本研究によりeBayでの実際の落札結果を収集し、分析することでこのシミュレーション結果の妥当性が確認できると考えた。

実際のネットオークションから入札履歴や落札価格の動向などの入札行動に関するデータを収集した研究として黒川氏、前川氏の「インターネット・オークションにおける入札者の行動分析」(参考文献3)を取り上げる。

この研究では入札対象である財が入札者にとって私的な価値観を持つものか入札者間に共通した価値のある性質のものかの違いにより異なる価格推移をたどることが示されている。私的価値の性格が強い財であるほどオークション終了間際に急激な価格上昇がみられ、共通価値の性格が強い財であれば早期の時期にある程度の価格上昇がみられることが示された。

この研究結果は2001年に発表されたものであるが、近年では様々な形態の電子商取引サイトが登場し、商品の入手手段が増えるとともに、それぞれの財が持つ価値観も変化している。本研究では、これらの変化がオークションに与える影響を調査することを期待している。

4. 研究方法とその目的

    

4.1 研究方法

eBayからFinding APIを利用して、30分ごとにその時、開催中のオークションの固有の商品番号を取得し、更新するプログラムを作成し、実行した。

取得した商品番号から無作為に180個の番号を取り出し、Trading APIを利用してオークションの詳細情報を取得した。取得した情報は最高入札者のID、最高入札額、入札された回数、現在時刻、そのオークションの開始時刻、終了時刻である。

20秒に一つの間隔で、180個のオークションがおおよそ均等に情報を取得できるように重みを設定した。重みの具体的な調整方法について下記に示す。

表1は実際に取得した。オークション情報の一部である。入札が行われると入札者ID、入札額、入札回数など変化がみられる。

表1、取得したオークション情報
オークションID 最高入札者 最高入札額 入札回数 現在時刻 開始時間 終了時間
226310865658 a***o 11.5 3 2024-08-26T23:19:02.476604+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 11.5 3 2024-08-26T23:37:22.687316+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 11.5 3 2024-08-27T01:05:23.033974+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 11.5 3 2024-08-27T01:46:43.700418+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T03:08:43.994419+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T03:10:23.030574+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T03:15:02.905983+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T17:15:23.474536+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T03:15:02.905983+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T03:23:02.068927+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T03:57:44.370009+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T04:15:22.975751+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T05:53:02.197813+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 a***o 12 4 2024-08-27T07:21:02.770101+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 f***t 12.5 5 2024-08-28T03:00:23.833277+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
226310865658 f***t 12.5 5 2024-08-28T03:00:44.578541+00:00 2024-08-24T00:48:09+00:00 2024-09-03T00:48:09+00:00
  

    

4.2 研究目的

収集した実際のオークションの取引データから入札時間帯と金額の関係性など様々な角度から、要素の相関を調べる。

また、オークションの金額の上昇する要因や有効な入札戦略を探る。

5. 分析結果

    

実験の結果、4266件のオークションの入札情報を収集することができた。

その中から、入札が1回以上行われた726件のオークションを対象に分析した。図1に横軸を入札時刻と入札終了時刻との差、縦軸に落札額を1とした入札金額の割合として設定し、収集した全てのオークションについて折れ線を書き加えたグラフである。

入札回数が1回のオークションは縦軸1.0の地点において横に一直線のグラフをとる。

すべてのオークションのグラフ
図1、すべてのオークションのグラフ

5.1 具体的なオークション例

ここで収集したオークションから一つ取り上げ、実際の進行の様子を示したいと思う。 表2はあるオークションの入札履歴である。オークションの開始価格は$9.99で落札者は最後の入札者であるs***sで落札額は$390である。横軸を時間、縦軸を金額として入札者それぞれについて異なる色で点を置いたグラフが図2である。

このオークションの特徴としてはオークションの前半の参加者と後半の参加者が全く異なること、連続した入札を行う参加者が多くみられることがあげられる。またオークション終了前日から急激に価格が吊り上げられている。

表2、入札履歴
入札者ID 最高入札額 現在時刻
start 9.99 2024-08-12T02:03:12+00:00
a***e 20.5 2024-08-12T05:39:22.855344+00:00
e***k 21.5 2024-08-12T09:13:43.407958+00:00
e***k 22.5 2024-08-12T11:35:01.787405+00:00
b***m 23.5 2024-08-12T16:05:22.965213+00:00
b***w 76.99 2024-08-12T21:42:44.127463+00:00
b***w 89 2024-08-13T00:27:44.022188+00:00
b***w 102.5 2024-08-13T05:53:44.280736+00:00
s***s 152.5 2024-08-15T22:55:43.201943+00:00
s***s 157.5 2024-08-16T21:38:02.810660+00:00
n***n 202.5 2024-08-16T23:14:23.090221+00:00
s***s 255 2024-08-17T04:56:23.644364+00:00
s***s 330 2024-08-17T06:18:23.185604+00:00
n***n 335 2024-08-17T06:24:43.696554+00:00
s***s 360 2024-08-17T06:47:23.618351+00:00
n***n 365 2024-08-17T07:58:44.345125+00:00
s***s 390 2024-08-18T03:04:02.422828+00:00
1つのオークションの入札履歴
図2、1つのオークションの入札履歴

5.2 形ごとの分類

図1からオークションを形のよっていくつかに分類できると考えた。そこでグラフを目視で類似した形別に分類し、特に多くみられた形について紹介する。

図3は右上がりの直線の集合である。時間が経過するにつれて順調に入札金額が吊り上がった。

図4はオークション終了直前に入札金額が急激に吊り上がったグラフの集合である。このような形のオークションが収集した中に多く見つかった。

直線に価格が上昇するオークション
図3、直線に価格が上昇するオークション
急に価格が上昇するオークション
図4、急に価格が上昇するオークション

5.3 入札時間による分類

落札額を100%とした特定の割合の入札金額到達した時間によってオークションを分類した。図5は横軸を終了までの時間、縦軸を落札金額の90%に到達したオークションの数である。

90%に到達したオークションの数
図5、90%に到達したオークションの数

図5から入札金額が落札金額に近づくのはオークション終了直前になる場合が多いことがわかった。

図6はその時間差に順位付けを行い、パーセンタイル順位で分布を表し、片対数グラフに表したものである。グラフの直線的な様子から落札金額の90%に到達した時間は終盤に集中していることが分かった。

90%到達時間の累積分布関数
図6、90%到達時間の累積分布関数

図7はこの結果が指数分布に従っているかを比較したグラフである。プロットされた点が直線と一致していればその分布は指数分布であると考えられる

90%到達時間と指数分布
図7、90%到達時間と指数分布

図7よりオークション終了直前の分布は指数分布に近い。このことからオークションが終了に近づくと一定の確率で激しく入札が行われていることがわかった。

次に入札金額が落札金額の50%に到達する時間の分布を分析した。90%の時と同様にヒストグラムを図8に累積分布関数を図9に示す。

50%に到達したオークションの数
図8、50%に到達したオークションの数
50%到達時間の累積分布関数
図9、50%到達時間の累積分布関数

図8、図9から90%の時よりは早い時間に到達するオークションの数が増加したものの依然としてオークション終了直前に到達するものの割合が大きいことが分かった。

次に入札金額が落札金額の10%に到達したとき、つまりオークションが動き出した時間の分布を分析した。

図10、図11は10%到達時間の分布をこれまでと同様にヒストグラムと累積分布関数で示したものである。

10%に到達したオークションの数
図10、10%に到達したオークションの数
10%到達時間の累積分布関数
図11、10%到達時間の累積分布関数

グラフよりオークションの動き出しは終了直前であるものがもっとも多いが前半から動きだすものも十分に多くばらつきがあることがわかった

図12はその時間差の分布を正規確率紙に示したものであり横軸は時間差を標準化したもので、縦軸は確率密度である。

図13はその時間差の分布を一様分布と比較したものである。

10%到達時間と正規分布
図12、10%到達時間と正規分布
10%到達時間と一様分布
図13、10%到達時間と一様分布

図12および図13から、データの分布は正規分布や一様分布に完全に従っているとは言えないものの、それらに近い傾向を示していると考えられる。具体的には、入札の10%が行われている点はほぼ均等に分散しているものの、平均値である5000付近にやや集中している傾向が見られる。

5.4 落札金額による分類

図1のグラフは縦軸を落札金額に対する割合、横軸を時間としたものだが、ここで縦軸を元の落札金額へ変更した。収集したすべてのオークションにおける落札金額は、最低落札価格が$0.01、最高落札価格が$20,000であった。

以下、図14は落札価格が$0.01から中央の値である$6.99まで、図15は落札価格が$6.99から$20,000までの範囲でオークションをグラフにしたものである。

低い落札金額の推移
図14、低い落札金額の推移
高い落札金額の推移
図15、高い落札金額の推移

図14に示したオークション、つまり落札金額が低い方に分類されたオークションについて落札金額の90%に到達した時間をヒストグラムに表したものが図16である。早い段階で落札金額に近づいているオークションの数が多い。

低い落札金額の10%に到達したオークションの数
図16、低い落札金額の10%に到達したオークションの数

図15に示したオークション、つまり落札金額が高い方に分類されたオークションについて落札金額の50%に到達した時間をヒストグラムにしたものが図17、90%に到達した時間をヒストグラムにしたものが図18である。落札金額に近づくのはオークション直前になっているものが多い。

高い落札金額の50%に到達したオークションの数
図17、高い落札金額の50%に到達したオークションの数
図18、高い落札金額の90%に到達したオークションの数
図18、高い落札金額の90%に到達したオークションの数

6. 考察

収集したオークションの入札回数を分類したところ、4266件のオークションのうち、1回も入札が行われなかったオークションが3540件で大半を占めた。残りの726件のうち、1回しか入札が行われなかったオークションの件数は177件とこちらも大きな割合を示した。このことから、商品を出品しても活発なオークションの進行を実現できなかった出品者が多くみられたことがわかる。

この0回の入札について分析することによりオークションの失敗する要因について調べることができそうであるが本研究では入札0回のオークションを分析対象外としたのでこれについては取り扱わない。

例として取り上げた図2のように終了直前にオークションの金額が急激に上昇するパターンは形による分類からも多くみられた。図2では終了直前に同一の参加者が複数回入札を行っている。このように終了直前に集中して入札を行うタイプの参加者が多数存在することが、急激な落札価格の上昇の要因であると考えられる。

eBayの検索アルゴリズムでは検索キーワードとの一致度や商品説明の充実度、出品者の評価などを総合的に考慮して商品を上位に表示している。そのためオークションの終了が近いことは自発的に検索条件に入れなければそれが特に上位表示の要因とはならない。したがって参加者にとってオークションの終了が近いことが入札するオークションを探す際の重要な要素となっていると考えられる。またそのような考えを持っている参加者が多いことが推測される。

入札時間による分類において落札金額に近い入札の分布が指数分布の傾向を示した。つまり、ある確立に従って入札が行われていることからもこのようなタイプの参加者の存在は明らかである。一方で、落札価格と遠い価格の入札は一様分布に近く、これは商品に対して低い評価値を持った参加者の入札位置は特定できず、均等に分散しており特定の戦略はみられないことを示している。

このような入札時間の違いが落札金額に対してどのような影響を与えたかの分析を5.4落札金額による分類で行った。オークションを落札金額の低かったもの高かったもの二分した結果、落札金額の低かったものにはオークションの開始から早めの時期に落札結果に近い入札が多い傾向がみられた。一方で、落札金額が高かったものはオークション終了直前になってようやく落札結果の半額に到達するもの、すなわち最後に入札が集中するパターンが多い傾向がみられた。

よって早期に決着したオークションでは落札価格が低くなり、終了直前まで争いが続いたオークションでは落札価格が高くなった。このことから終了直前に入札する戦略を持った参加者の存在が落札価格の高騰の要因の一つだと考えられる。結果としてはオークションの早期に評価額の入札を行ったほうが落札価格を低く抑えられると考えられる。

7.まとめと今後の課題

本研究では、eBayから実際のオークションの入札データを収集し、分析を行った。主に入札の金額と時間によって、特に入札がされた時間に注目して入札者の特徴、傾向を調べた。その結果、終了直前に集中して入札を行う戦略を持った参加者が多く存在することが確認できた。またそのような参加者の存在がかえってオークションの落札額を高くしているという結果を得られた。本研究の結論として安価な落札を目的とした戦略としては、オークションの早い段階に自信の評価額に近い入札を行うことが望ましいと考えられる。一方で評価額とかけ離れた低額での入札には効果がなく、終了直前に他の参加者と争った場合、結果的に落札額は高くなってしまうことが分かった。

このような参加者の入札傾向は検索アルゴリズムやホームページの構成による影響を受けていると考えられる。本研究で分析したeBayでは参加者の思考や戦略を反映しやすいような検索アルゴリズムが採用されていた。一方で、eBayとは異なった検索アルゴリズム、例えば入札の少ないオークションや新着のオークションを優先して表示するアルゴリズムを採用することで、入札行動をある程度制御することが可能であると考えられる。他のオークションサイトの分析や検索アルゴリズムの提案によって、より効率的な入札の研究への発展が課題として挙げられる。

また本研究では活発な入札を目的とした場合、失敗と言える結果となった入札回数のオークションが多くみられた。このような失敗したオークションと、多数の入札がされた成功のオークションについて比較、分析することで出品方法やサイト運営側での改善案が得られそうである。

また本研究では参加者を時間と金額の観点から分類したのに対して、落札の成否、それぞれの入札回数、落札者の評価、商品のカテゴリ、商品の価格帯など細かく分類して分析することにより本研究以上の効果が期待できそうである。データの分析方法についての改善が今後の課題として挙げられる。

8.参考文献

参考文献リスト